竜の唄
「あれが魔法学部の学部長と副学部長?」
「イアン…お前そんなことも知らねえのかよ。男の方が学部長、女の方が副学部長だぜ。学部長厳しそ~」
隣に座っている友に聞いてみると、そんな答えが返ってきた。
確かに男性の方は真顔でじっと立っていて、…ちょっと怖そうだ。
女性の方はというとずっとにこにこしていて、正直何を考えているかよくわからない。
「まず合同演習は、学内演習と、外で行う実戦演習がある。まあそれは普段それぞれの学部で経験してるだろうからわかってると思うが」
そう言われ、何人かの生徒が聞き入るように頷いた。
学内演習は学校内の施設で教師が魔術で創った魔物と戦ったり、生徒同士や教師相手に対人戦をしたりするものだ。
ここで好成績を修めなければ、その次の段階である実戦演習には進めない。
実戦演習では実際に外にはびこる魔物を相手どるので、学内で上手く戦えないようならば危険と判断されて待機することになってしまう。
なかなかそこから動けないようであれば、あっという間に一年が過ぎ、ハイ留年、というシビアな世界だ。
「で、こっからがいつもと違うところな。いつもの演習だと個人戦かグループ戦を学部内でやっていたが、この合同演習では騎士学部と魔法学部でペアを組んで取り組んでもらう」
リアスがそう告げたところで、ざわざわ、とひとしきり生徒たちの声の波が起きた。
聞いてはいたが、実際に言われるとなかなか緊張するものである。