竜の唄

「あー、はいはい、わかったから静かにな。ペアはもうこっちで決めてある。ちゃんと相性とかレベルとか考えた上でだから安心しろ。で、それを発表しまーす!」


続けて、ハイ起立ー!と急に命ぜられ、生徒たちはついていけないままに目を白黒させてとりあえず立ち上がった。

リアスの無茶振りはいつものことなので、騎士学部の生徒たちは慣れているが、魔法学部の生徒はどうやらかなり戸惑ったようだ。


続いて一瞬間を置いて魔法学部長の男性がすっと杖をあげ、途端に椅子が浮いてホールの端へガタガタと積み上げられた。

さらに副学部長の女性が杖を掲げると、今度は生徒一人ひとりの目の前に、一枚の紙が現れる。

その騎士学部ではありえない見事な手際に、そちら側の生徒からはおおーっ!と一斉に歓声があがった。



「ほいほい、クロノ先生とイヴ、…先生がすげえのはわかったから。お前らも、騎士学部はあっち、魔法学部はあっちの端に寄れ! 紙に書いてる通りに列になってくれ。こっちが前な!」



どうやら魔法学部の学部長はクロノ、副学部長はイヴというらしい。

何故イヴ、と呼んだあと詰まったのかはよくわからなかったが、彼らの名前すら知らなかったイアンはいきなりの魔法に目をキラキラさせながら、友人に引っ張られ壁際に寄った。


すると、引っ張られた先に見慣れた蒼い頭を見つける。



「あれ、カノン!」

「んん? おや、イアンじゃん!」


呼びかけられた蒼頭、カルマの双子の姉カノンは、イアンに気が付くとニカッと笑って手を振った。




< 15 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop