竜の唄
「…イヴ、あのペアって貴女が考えたの?」
説明会が終わり、その日の放課後。
授業も受け終わり、課題も終わらせたロゼは、魔法学部副学部長イヴの私室にいた。
彼女は夕焼けが差し込むその部屋で白い椅子に腰かけ、目の前のこれまた白い丸いテーブルに出された紅茶と茶菓子に手をつけている。
「ん? そうねえ、私だけではないけど。クロノ先生とリアスとレレノア先生と考えたのよ。いい組み合わせだったでしょう?」
ロゼに対面する形で腰かけていたイヴは、聞かれた内容に微笑みながらそう返した。
今、二人は、イヴの私室で恒例のお茶会を開いている。
週に数回こうやって集まって、お茶会をするのがイヴの楽しみの一つだ。
密かにこちらも楽しみにしているロゼは、育ての親である彼女の笑みに、少したじろいで目線を泳がせた。
泳がせた視線の先で、夕日が街に沈もうとしているのが見える。
「い、いいって…」
「だってロゼ、貴女顔真っ赤にしちゃって! かーわいい! もう惚れちゃったの!?」
「ほ、!!?」
「なんだって!!!?」
またまた真っ赤になって慌てたロゼとニヤニヤを隠せないイヴの間に、第三者の声が大きく響いた。
二人が振り返ると、部屋のソファに堂々と寝そべっていた少年が、バサッと先程まで読んでいた本を床に落としわなないている。
「姉ちゃん!! 誰だどこの誰だそいつ!! 僕は許さないぞ!!」
「な、何言ってんのよ! そんなんじゃないから!! 大体リオに言われる筋合いはないわ!!」
そう真っ赤なまま言い返したロゼに、彼女の弟、リオルドはずれ落ちた黒縁メガネを押し上げ絶望した。
それを見ていたイヴが、白けた目で彼に言う。