竜の唄
「今日は魔物と対戦だ。まだ初回だから弱いのとな。それぞれ三回、だんだん強くなる。最後の魔物に勝てたペアだけ、勝ったペア同士で対決してもらう。これは教師もつくから指示を待て」
まずは魔物で肩慣らし、というワケだ。
気合い入ってきた、と目を輝かせるイアンを一瞥し、リアスはまた口を開く。
「合同演習の目的はお互い魔術と剣術や槍術になれること、それをふまえ戦い方を考えること」
頭を使って戦えよ、と釘をさしたリアス。
うっ、と怯んだイアンにロゼは苦笑いをこぼした。
直感的に戦うタイプには痛い言葉である。
「よっしゃ、まあ百聞は一見にしかずだ。四学年まで上がったお前らなら最初のヤツらは余裕だろ。散れ!」
普段の演習と同じように号令をかけられ、反射的に生徒たちは演習場いっぱいに距離をとって散って行った。
それを確認したクロノ学部長が杖を取り出し振ると、壁に多数取り付けられた扉が開き魔術で創られた魔物が現れる。
それぞれのペアに二体、割り当てられているようだ。
「よっしゃ、よろしくロゼ」
「こちらこそ。…イアンは前衛よろしくね、私は後ろから援護するから」
「おう!」
すらっ、と鞘から剣を抜くイアン、懐から杖を出し、魔力を込めて大きくするロゼ。
気合いたっぷりの二人は、自分たちの前にやってきたイノシシ型の魔物を見据え待機する。
リアスが号令をかけた途端、イアンは地を勢いよく蹴った。