竜の唄
「らあっ!」
戦いの幕開けに、鋭く響く一声。
駆け出し先制をとって魔物の前に出たイアンが、剣を振り上げ額を狙う。
イノシシの魔物は危機を察したのか、後ろに下がって退こうとした。
その瞬間魔物の後ろの芝生が急に大きく成長し、その動きを封じる。
「おおっ!? ナイスロゼ!」
避けようとされ攻め方を変えようとしていたイアンは、驚き感心しつつそのまま剣を振るった。
しっかり魔物をとらえたそれは、額を切り裂き大きなダメージを与える。
悲鳴をあげる魔物の横から、もう一体が突進してきた。
咄嗟に蹴りを繰り出してそれを突き飛ばし、目の前の魔物の頭にもう一撃浴びせる。
今度は横にまわってもう一撃、胴に突きを繰り出すと、さらに悲鳴をあげて最初の一体が光となって消えた。
その呆気なさに驚いていると、残ったもう一体の悲鳴が聞こえる。
はっ、とそちらを見ると、魔物は炎につつまれ光となって消えたところだった。
「おお! すげえ魔法!!」
「…わかってたことだが、お前らてんでバラバラだな」
よかったのは最初の連携だけだ、と檀上から見ていたリアスがため息をついた。
まあ魔物が弱すぎたかな、とついていた頬杖をとき、次だ次だとイヴに言う。
「うるさいわねえ、わかってるわよ」
ハイ、とイヴが杖を振り上げると、一回り大きい植物型の魔物が現れた。
ダメ出しされぐぬぬと唸っていたイアンは、それを見た瞬間また剣を構える。