竜の唄

今度は三体いる。

先程と同じように勢いよく駆け出し、胴体を斬りつけようと剣を振ると、魔物は体の周りを腕のような葉で覆いガードした。

その葉を斬りつけ、一旦距離をとる。


さあどうしようかな、とトントンとつま先と地面をぶつけ相手の様子を窺っていると、ロゼが声をかけてきた。



「…イアン」

「ん?」

「植物だから、炎で一気にたたみかける方が効率がいいと思う…。術を使うからひきつけてて」

「じゅ、術?」

「少し時間がかかるの、20秒くらい。邪魔されると最初からになっちゃうわ」

「んー? まあ相手してたらいいんだよな、わかった」

「それで、あの、できれば三体同じところにまとめてて」

「善処する!」


元気よく返事して、イアンはまた飛び出して行った。

わかってるんだろうか、注文つけすぎたかな、と少し不安になりつつ、ロゼは杖の端を地面に叩きつけ、そこを中心に複雑な模様が描かれた陣を出す。



「魔法陣!! すげえ!!!」

「い、いいから集中してて!!」


いちいち目を輝かせるイアンに呆れつつ驚きつつ、ロゼは術式を組み立てはじめた。

それを見届けたイアンはワクワクしながら、三体の真ん中にいる魔物に向かって、少し距離はあるが横なぎに剣を振るう。



「もういっちょ!」


飛んで行った斬撃を確認しつつ、今度は右側の魔物がロゼに向かって動き出したので、剣を下から上に振り上げ縦の斬撃を飛ばした。

二つの斬撃は狙い通り魔物にクリーンヒットし、相手を怯ませる。


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