竜の唄


「焼き鳥!」

「や、!? しゅ、集中して!」


そんなに焼き鳥が食べたいのか。


一言だけ叫んだイアンはそのまま馬に蹴りと斬撃をくれてやり、最後に剣を真っ直ぐ繰り出した。

頭を貫かれた馬の魔物が、悲鳴とともに光となって消える。


鳥は、と振り返ると、地に落ちたところを芝生で拘束したロゼが、雷鳴を響かせ見事に電撃で貫いていた。


おお、と目を輝かせ、消えた魔物を見届ける。



「ロゼの術はすごいな、威力がやべえ!」

「あ、ありがと。イアンも、超人的ね」


速すぎてびっくり、と杖を縮めながら、ロゼは大きく息を吐いた。

人ってあんなに素早く動けるのか。

とりあえず終わってよかった。



「イアンは素早さと力、どれをとってもピカイチだからなあ」

「力も強いの?」

「うーん、まあそれなりに」


リアスの言葉に問うと、イアンは照れ臭そうに頬をかいた。

そういえば植物の魔物や馬の魔物の巨体を蹴り飛ばしていたっけ。


細いのに、と驚くロゼをよそに、彼は剣を鞘に収め周りを見回す。



「まだ誰も終わってないみたいだ。一番乗り!」

「…じゃあ、しばらく休憩かしら」



未だに最初の魔物を相手しているペアもいる。

リアスとイヴはしょっちゅう色んなペアに目を移して見ているようだし、自分も観察でもしようか。


そう考えていると、どこかのペアが最後の魔物を倒したようで歓声が上がった。

< 38 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop