竜の唄

「やった! 倒したっ!!」

「ありゃ、イアンのとこに負けてる! くやし~!」



どうやらカノンとそのペアの少年が倒したらしい。

イアンが少女の言葉に苦笑していると、レレノアがさっと二人に声をかけていた。


そのままこちらへ連れだってくる。



「お? もしや?」

「そのもしやだ。このペア同志で対決な」

「げえっ! イアンと!? 無理無理! 怪我すらしてないじゃ~ん!」



レレノアがにやりと笑い、そしてカノンは喚きたてた。

彼女のペアの少年はというと、ロゼを見て気まずそうに視線をそらす。


それに気が付いたイアンは、居心地悪そうなロゼの態度も相まってムッと顔をしかめた。



―――お高くとまった首席ちゃん。



騎士学部ですらそんな噂が流れていた、ということは。




「うーん、ペースは早いがもうやるか? じゃあイアンとカノンは竹刀と木矢に持ち直せな」

「はーい」



対人では刃物は使わない決まりだ。

レレノアが剣と鋼鉄の弓矢を受け取り、竹刀と木製の弓矢をかわりに渡す。



「まあこれクリアするにしろしないにしろ、お前らはもう実戦演習は決定だから。気楽にやれ」

「まじか! やった!」



リアスの言葉に、イアンが嬉々としてガッツポーズした。

一度経験済みで知っているカノンも、うんうん頷いて嬉しそう。


レレノアに指示されお互いのペアで向き合ってから、儀礼として名乗った。


相手の魔法学部生はノイド=ロレアスというらしい。

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