竜の唄
「カツカレーセット一つ」
「俺はからあげセットで」
白い壁の上下に木製の縁取り、高い天井に金色の豪華な装飾が施されている、学園の食堂。
席につき、メニューを頼んだ二人は、いささか行儀悪く肘をつきながらたわいもない雑談をはじめた。
カルマはイアンの一つ上の先輩で、寮が隣部屋なためよく世話を焼いてもらい仲良くなり、いつもこうして夕食を寮の食堂で一緒に食べる。
たまに彼の姉も一緒に食べるが、今日はいないようだ。
「そういやイアンお前、そろそろ合同演習じゃないのか?」
「そうだな。魔法学部の人ってどんな感じなんだ?」
「どんな感じって…。…インテリ?」
騎士学部に属するイアンとカルマは、あまり魔法学部のことを知らない。
この王都ウェルネスに位置する王都育成学校では、学部が騎士学部と魔法学部の二つに大きく分かれている。
名前の通りそれぞれ騎士と魔法使いを育成するのだが、校舎がまるっきり違い、さらに広大な敷地を持つ学園の端と端に対面するように建っているため、これが全く交流がない。
そんな魔法学部と合同で実技演習をする機会が、今度イアンの学年の四学年であるのだ。
もちろん先輩のカルマはこれを経験しているのだが、なんとも頼りないお言葉である。