竜の唄
「なんだそれ。インテリならカルマだってそうじゃん」
「俺のはインテリじゃなくてだな、あれだ、ギャップってやつだ」
五学年の主席であるカルマはふふんと得意げに笑い腕を組み、そんなことをぬかしてみせた。
だがしかし残念なことに、口の端にからあげがついているせいでイマイチ決まらない。
苦笑いしたイアンは、ぜひともお勉強の方も面倒を見てくれと遠い目をしてぼやいた。
「お前はほんと、実技はいいのになあ。頭がなあ~」
「うるっせぇな。カノンよりはましだろ」
「それは言わないでやってくれ」
彼の姉の話を出すと、途端にカルマはがっくりとうなだれた。
彼の双子の姉、カノンは、どうも頭の出来が悪いらしく、留年してイアンと同じ四学年に在籍しているのだ。
ちなみにこの双子、性別と性格、そして頭に違いはあれど、容姿はくりそつである。
まだ出会ったばかりだった頃は、イアンもよく二人を見間違えたりした。
「そういえばお前の学年の魔法学部って、確か噂の天才主席ちゃんがいたよな」
「天才主席ちゃん?」
「知らねえの? なんでもずば抜けてすげえらしくてな、飛び級とかも考えられてるらしいぜ」
「へー。そんなのいるんだな」
「お前はもう少しさ、こう、情報を知ってくれ」
先輩心配になってきた、と苦い顔をしたカルマに、イアンは手をひらひら振るだけで答えた。