竜の唄
「おいおい、また何も考えてねえぞお前!」
「う、わ、わかってるっての!」
カルマに挑発するように指摘され、イアンは苦い顔をして次に脚で槍をのかし、剣を振りかざした。
体勢を崩されたカルマはそれを横に跳ぶことによって避け、槍を横なぎに振るう。
またも剣で受け止め、そのまま前に踏み出したイアンは、槍を剣で食い止めたままカルマの懐に潜り込んだ。
「おっ?」
「らぁ!!」
瞬時に槍から剣を離し、突き出す。
カルマは体をそらして避けたが、髪を刃がかすり、思わず冷や汗をかいた。
全長の長い槍を一旦後ろに引いて、同時にイアンから距離をとることで大きな動作のカバーをする。
その動作の間にイアンが横に振った刃は、カルマが先ほどまでいた場所の空気を斬っていた。
「重いモン持ってんのに、やっぱカルマは速えなあ!」
「お前ほどじゃねえけどな…。ほら、無駄口叩いてるヒマあったらもいっちょやるぜ!!」
何故か嬉しそうに言ったイアンに少し照れつつ、カルマはまた槍を構えた。
よっしゃあ!!とこちらも意気込んだイアン、早速足を踏み出そうとしたところで、二人の間に声がかかった。
「…楽しそうだなあ、お前ら」