初恋はユーレイ君と!?
見えない対面
「………ただいま~」
『おっかえり~!遅かったぞ!退屈してたんだぞ!バラエティー番組でもつけていっ…………』
玄関にあたしに続き拓也くんが入ってきた瞬間、
真斗の言葉は止まった。
もちろん、拓也くんには、ただ電気がついているだけの静かな部屋しか映っていない。
「上がって、拓也くん。」
「あ、お邪魔します。」
拓也くんが腰を低くして部屋に入る。
真斗のことが見えていない拓也くんは、ちょうど真斗の体をすり抜けて
リビングへと入っていった。
あたしは真斗の目の訴えを今はとりあえず無視して、
拓也くんについていった。
「…………………本当に兄貴が?」
「いるよ。そこで、目を丸くしてる。」
真斗がリビングに入ってくる。
「…………兄貴、久しぶり。」
拓也くんは、周りを見渡しながらそう言った。
真斗の顔が、泣き出しそうに歪んだ。
今まで見たことがない、
苦しそうな顔だった。