初恋はユーレイ君と!?







あたしは、真斗の方を見た。





拓也くんから見れば、奥に玄関が見えるだけの方向。





「………会ったの………カレンさんに。」





『………………え………』





「………全て聞いた。真斗が、死んだ理由。」





『………………どうして……』





「……真斗、拓也くんと話して?色々と、言い残したことあるんでしょ?」





『…………………拓也…………』





真斗の視線が、あたしから拓也くんへと移った。





見えない兄、真斗の視線が。





「…………………兄貴……………」





あ…いる……………。





拓也くんの心の声が聞こえた。





死んだ兄が、



三年会っていない兄が、いると…………。





ここに、確かにいると…………。





「……………結香ちゃん、兄貴…どこに立ってる?」





あたしは、拓也くんの問いかけに、指で答えた。





玄関が見える方向を指さす。





“そこにいるわ。”





拓也くんは、あたしが差した方向に体を向けた。




違う世界の中にいる兄弟が、





…………………━━━━今、向き合った。






見えないはずなのに…………目が合っている…………。





「………………兄貴、今、目合ってるよな?」





『………あぁ。』





あたしは、「うん、だって。」真斗の言葉を拓也くんに通訳した。





「………………今まで……兄貴には迷惑ばっかり……………


いや…………迷惑しか…かけてなかったな………。」






拓也くんの顔が微かに悲しさを滲ませて笑ったとき………、





真斗が苦しそうに泣いた。






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