初恋はユーレイ君と!?
「…………兄貴はいつも………
ちゃんとしろぉ!学校へは勉強しにいくんだ!………………って……
グレてた俺に毎日言ってたよな………。」
『………………は……………たく………』
「……………まじでうぜーな兄貴。………そう思ってた。
…………………殺してやりたいぐらいバカだったよ、俺は…………。」
『………………もういいっ…………やめてくれ……………』
「………………反抗して殴ってばっかりいた俺を、いつも見捨てずに支えてくれた……」
拓也くんが、こらえていた涙を抑えるように、
手で口を抑えた。
「…………怪我ばっかさせて…………本当に悪かった……………
兄貴は………色んなことを自分1人で背負って…………
いや…………俺が兄貴に背負わせて…………
俺のせいで…………兄貴は死んだんだって………」
『……………………拓也………それは違う……!』
「……………兄貴じゃなくて…俺が死ねばよかったのに、って……………
何度も何度も何度も何度も何度も…………
後悔してもしきれねぇんだもん……………
兄貴のことが………忘れられねぇんだもん…………
兄貴の笑顔が……いつも俺を見ててくれたんだもん……………」
『………………バカかお前……………、
弟を支えない兄貴がいるわけねぇのによ…』
あたしは、通訳しようと口を開いた、その時。
涙でぐちゃぐちゃになった拓也くんが、
手のひらをあたしの方に伸ばした。
口止めをするように………。
「…………結香ちゃん、大丈夫。
………………兄貴の声が…聞こえるんだ……」