中距離恋愛



しばらく歩いてると、後ろから自転車の音がした。

これくらいの時間にここら辺を通るって事は、
完全に真都のはず。

いつもみたいに「よっ!直」とか声をかけられるだろうと、
「今日は寝坊してねーの?珍しいな、雨か?」とか言われるだろうと思ってた。

…それなのに。

声をかけられるであろうタイミングで振り向きかけたら、
真都は完全スルーで。


「…え?何で?」


びっくりというか、茫然というか。

とにかくそんな感じで、「おい!! シカトすんな!!」とか、
いつもならそんな事言って後ろから走って追っかけるのに、
それすらもできなかった。







遅刻ギリギリというわけでもなく、
いつもよりすこーしだけ余裕を持って学校に着いた。

玄関でも真都に会わなかったから、
もう教室に居るんだろう。

とっちめてやる。



< 23 / 55 >

この作品をシェア

pagetop