中距離恋愛
しばらく歩いてると、後ろから自転車の音がした。
これくらいの時間にここら辺を通るって事は、
完全に真都のはず。
いつもみたいに「よっ!直」とか声をかけられるだろうと、
「今日は寝坊してねーの?珍しいな、雨か?」とか言われるだろうと思ってた。
…それなのに。
声をかけられるであろうタイミングで振り向きかけたら、
真都は完全スルーで。
「…え?何で?」
びっくりというか、茫然というか。
とにかくそんな感じで、「おい!! シカトすんな!!」とか、
いつもならそんな事言って後ろから走って追っかけるのに、
それすらもできなかった。
遅刻ギリギリというわけでもなく、
いつもよりすこーしだけ余裕を持って学校に着いた。
玄関でも真都に会わなかったから、
もう教室に居るんだろう。
とっちめてやる。