きみと泳ぐ、夏色の明日
11M 心が熱い理由は

***


――キーンコーンカーンコーン。

1学期最後のチャイムが校内に鳴り響く。

明日からは夏休み。その注意事項と大量の課題を配り終わった担任が挨拶をして教室が一気に騒がしくなった。


「はーやっと終わった!このあとどうする?カラオケ行っちゃう?」

「いいね!今日は全部の部活休みだし普段行けない人も誘おうよ!」


みんなのテンションがいつも以上に高い。


「すずー。夏休みいっぱい遊ぼうね!連絡するから!」

帰り支度をした紗香が私の肩を叩いた。

紗香は今日テニス部の仲間とランチを食べながら1学期の反省会をするらしい。


「うん。私もする。またね」

「うん。バイバイ~」

紗香を見送ったあと、さきほどカラオケに行くといっていた集団が必死で須賀を探していた。


スマホを耳に当ててるから、どうやら電話をかけてるみたいだけど捕まらないようだ。

「せっかく須賀も誘おうと思ったのに」なんて、落ちこみながらクラスメイトたちが教室を出ていった。


いつの間にか教室には私ひとりだけ。

本当にうちのクラスは遊びごとになると早いっていうか、嵐のように去っていくからビックリする。


須賀はホームルームの時は普通に隣にいたけど、解放されると同時に姿を消した。

須賀もまた嵐のようなヤツ。


……そういえば借りてた本を図書室に返すのを忘れてた。

明日から夏休みになっちゃうし、たぶんまだ鍵は閉められていないはず。

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