きみと泳ぐ、夏色の明日
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夏休みはとくにやることもなく、かといって家にいてももどかしい気持ちになるばかりで、私は昼食を買いにコンビニに出掛けた。
一時(いっとき)気温は落ち着いて、セミも見かけなくなったと思ったのにまた復活して大合唱。
たしかセミは7日で力尽きるんだっけ。
逆に羨ましいよ。
だって自分たちの終わりを知ってるから大声で鳴くんでしょ?人間は終わりなんて分からない。
だから伝えたいことも言えないまま、二度と会えない人になる。
「あれ、すずちゃんだ」
コンビニに着く寸前で前から誰かが歩いてきた。
赤いジャージはすごく目立っていて胸には有由校のマーク。
「……圭吾くん」
「俺は部活帰り。今日は午前中だけだったからさ。すずちゃんは?」
まさか知り合いに会うとは思わなかったから、すごい適当な服装プラス髪の毛もボサボサのまま来ちゃった。
「私はそこのコンビニに……」
「もしかして昼食まだ?よかったら一緒に食べにいかない?」
え?この展開は想像してなかった。
お腹は空いてるしコンビニのお弁当が食べたいわけじゃない。でもこんな格好じゃ……。
「ダメ?」
「うう……」
そんな顔されたらダメとは言えなかった。