きみと泳ぐ、夏色の明日
「すずちゃんは恭平のことどう思ってるの?」
目を泳がせないようにしたのに確実に動いてしまった気がする。
「べつにどうも……」
「でも関心の中にはいる、でしょ?」
いないと否定したいのにできない。
関心にはいるよ。
クラスメイトだし隣の席だし学校の英雄だし、
ケガをさせてしまった後ろめたさもある。
関心はある。間違いなく。
「俺恭平にだけは負けたくないんだ」
むしろ関心がありすぎるのは圭吾くんのほうだと思う。
「それは須賀と張り合いたいだけっていうか、須賀よりも常に上にいたいって気持ちがあるからじゃないの?」
だから私にも応援にきてほしいと言う。
圭吾くんが見ているのは私じゃなくて須賀だよ。
「そう俺も思ってたんだけど、今はなんか違うんだよね」
「え?」
「すずちゃんのことをもっと知りたいって思ってるし、会えたらすごく嬉しい。これは普通に素直な感情」
「じゃあ……素直じゃない感情は?」
「やっぱり恭平には負けたくない」
圭吾くんの目はまっすぐで笑っちゃうぐらい嘘がない。
その瞳で見られているとまるで心まで見透かされてるみたいで、体が透明になっていく気分。
「恋愛は両立できないってこの前言ってたよ」
「アレはアレ。コレはコレだよ」
どこかで聞いたセリフ。
「恋愛するならすずちゃんがいいってこと。
どう?俺と恋愛してみない?」
何人の女子がこの言葉で気絶してしまうんだろう。
きっと泣いて喜んで、そんな自分の姿を夢見ている女の子たちがたくさんいる。
でも私も嘘はつきたくないから。
「私は――」