きみと泳ぐ、夏色の明日

***


それから数日が経って、紗香から電話がかかってきた。

内容は一緒に花火大会に行こうということ。時間は夕方の5時。ちょうど太陽が沈んで暑さも多少和らぐ時間帯だ。


「すず~!」

待ち合わせ場所に着くと、紗香が嬉しそうに手を振っていた。


「浴衣可愛いね」

「本当?ありがとう」

紗香は淡い紺色の蝶々柄の浴衣を着ていて、スラッとした体型の紗香はよく似合う。長い髪の毛はおだんごにしてキレイな髪飾りがキラリと光っていた。


「あ、すず。それ……」

紗香が私を見るなりすぐになにかに気づいた。


「うん。紗香がプレゼントしてくれたやつ」

私の前髪には紗香から貰ったゴールドのヘアピン。紗香みたいに着飾ってこなかったけど、これだけは付けて行こうと決めていた。


「嬉しい。うん。やっぱりすごく似合ってる」

「ありがとう」

さっそく私たちは花火大会の会場へと向かって、歩行者天国になっているエリアへと入ると、紗香と同じように浴衣を着た人たちが沢山いた。

< 122 / 164 >

この作品をシェア

pagetop