きみと泳ぐ、夏色の明日


それを言ったのは他クラスの男子。

回るって……お祭りを?

私と紗香は同じタイミングで顔を見合わせた。


「いいじゃん。せっかくこうして会ったんだし。みんなで回ったほうが絶対楽しいって!」

またグイグイと迫られる。


「いや、間宮たちだって楽しんでるんだから強制すんなって」

須賀が呆れた顔をしていた。


「強制してねーよ。提案。どう?一緒に回ろうよ」

「えっと……まあ、私は大丈夫だけど……」

その押しの強さに紗香が折れる。私に同意を求めてくるから、もうイヤとは言えない雰囲気だ。


「少しなら……いいよ」

そう私は渋々返事をした。

気乗りはしてないけど。どうせ花火がはじまるまでだから30分くらい我慢すればいいことだ。


「なんかわるい。邪魔しちゃって」

人混みの中、みんなそれぞれなにかを食べながら歩きはじめて気づくと須賀が隣にいた。


「べつに須賀がわるいわけじゃないでしょ」

夏休みがはじまってまだ1週間しか経ってないのに、この感覚が久しぶりに思える。


なにを話そう。普段どんなことを話していたっけ?

考えた末に出てきたのはやっぱり水泳のこと。

< 125 / 164 >

この作品をシェア

pagetop