きみと泳ぐ、夏色の明日
「聞いてよ。朝から40分のスパルタメニュー。
これじゃ授業中眠くもなるって」
無言で立ち去ろうとしてたのに足止めされてしまった。
「……べつに寝てたって須賀は何も言われないでしょ」
これは完全な嫌味返し。勉強しなくても須賀は許される。
キョトンとしている顔を見て、さすがにもう私に絡んでくることはないだろう。
「間宮が俺の名前呼んだの初めて聞いたかも」
「は?」
拍子抜けの反応に私が動揺してしまった。
「だ、だからなに?名字以外呼び方なんてないじゃん」
私はそう言って逃げるようにその場を去った。
須賀って天然?それともバカなだけ?
なんで嫌味を言ってんのにそこを気にしないわけ?
どんなに冷たくしても他の人たちみたいな態度をとらないし。須賀に何かされたわけじゃないけど、やっぱり苦手だ。
なにを考えてるか分かんないし、あの水の匂い。
水泳、夏、須賀。
私にとってそれはワンセット。
一番近づきたくないものなんだよ。