きみと泳ぐ、夏色の明日
「先生、私目が悪いんで前にして下さい」
ガタンと身を乗り出して変更を申し出た。しかしそれはあっさりと却下。
「お前身体測定の時視力Aだったろ」
「………」
これ以上何も言えなくなった私はただ新しく決まった席に従うしかなかった。
ギィィガタンとみんな文句を言いながら渋々、机と椅子の移動をはじめた。私も苦い顔をしながら窓際の一番後ろに移動すると、その隣にはもう須賀がいた。
「よろしく」
こっちの気持ちも知らないで須賀はもう寝る体勢だ。
私は不機嫌に椅子に座り、窓から見える校庭に目を向けた。
そこからは屋外のプールがばっちり見えて余計に最悪。外を見てもダメ。横を見てもダメ。私はギュッと手に力を入れた。
「すず離れちゃったね。私なんか一番前だよ」
ホームルームが終わり、紗香が席に近づいてきた。
「私は一番前の方がいい。できるなら代わってほしいよ……」
これからこの席だと思うと気が重い。明日から憂鬱だ。すると、私の声が聞こえたのか一部の女子が突っかかってきた。