きみと泳ぐ、夏色の明日
「なんで間宮さんが須賀の隣なの?」
「次の席替え当分先だって。須賀かわいそー」
ほら、はじまった。
須賀の隣も逃し、仲がいい女子たちはバラバラ。文句の矛先が私に向くことは分かっていた。
普通なら聞こえないふりをするのが可愛い女子。でもあいにく私は可愛くないんで。
「私だって好きでこの席になったんじゃないから」
気が強いって言われようと、私はこんなもので怯まない。
「はあ?そうやって気がないふりして内心喜んでるんじゃないの?」
「そうそう。間宮さんって男子の気を引くの上手いから。とくにプールとかね」
ざわざわとしだす教室。この迫力に紗香は不安な顔を浮かべている。
私が喜んでる?気を引くのが上手い?
なにを根拠に言ってるのか分からない。
それにもっと腹が立つのは当の本人、須賀は隣で寝ているということ。
なんでこの短時間で爆睡できるわけ?普通こんなにうるさかったら起きるでしょ?
須賀も勝手に話題にされて可哀想だけど、私はそのせいで散々だよ。
「どうせ今日もプール入らないんでしょ?」
「あの噂は本当なんじゃない?刺青があるから入れないってやつ」
私は悔しくて唇を噛み締めた。プールの授業は2限目。
入らないことでごちゃごちゃ言われるなら入ってやる。
大丈夫。ただのプールなんだから。