きみと泳ぐ、夏色の明日

***


そして時間は進み、2限目。女子たちは水着に着替えるために更衣室に移動した。


「大丈夫?プール苦手なんでしょ?」

制服のボタンを外しながら紗香が言った。

紗香は私の胸の内を知らない。ただのプール嫌いとしか思ってないと思う。


「……大丈夫だよ」

私は平常心を保ち、ロッカーから水着を取り出した。


これは意地なのかそれとも負けず嫌いなのか。

水が怖いと素直に言ってしまえばラクなのに。

そんな中、着替え終わった紗香が私の肩を叩いた。


「泳ぐのが苦手なら私がフォローするし、適当にやってればプールの授業は時間が経つの早いから」


友達に気を遣わせてまで捨てられないプライドってなに?

きっと私はあの日のことを受け入れていないんだね。だから認めたくないし、人にも言いたくない。


私はみんなと同じ紺色の水着に着替えて、ゆっくりとロッカーの扉を閉めた。

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