きみと泳ぐ、夏色の明日
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そして時間は進み、2限目。女子たちは水着に着替えるために更衣室に移動した。
「大丈夫?プール苦手なんでしょ?」
制服のボタンを外しながら紗香が言った。
紗香は私の胸の内を知らない。ただのプール嫌いとしか思ってないと思う。
「……大丈夫だよ」
私は平常心を保ち、ロッカーから水着を取り出した。
これは意地なのかそれとも負けず嫌いなのか。
水が怖いと素直に言ってしまえばラクなのに。
そんな中、着替え終わった紗香が私の肩を叩いた。
「泳ぐのが苦手なら私がフォローするし、適当にやってればプールの授業は時間が経つの早いから」
友達に気を遣わせてまで捨てられないプライドってなに?
きっと私はあの日のことを受け入れていないんだね。だから認めたくないし、人にも言いたくない。
私はみんなと同じ紺色の水着に着替えて、ゆっくりとロッカーの扉を閉めた。