きみと泳ぐ、夏色の明日



屋外プールに移動するとすぐに間隔を開けて並ばされた。

そして体育の先生の合図と共に準備体操がはじまった。


私はこの光景をいつもプールの片隅で見ていた。まさか自分が参加することになるなんて……。


チラッと前のほうを見ると、須賀の姿が見えた。

須賀は普段の授業じゃ寝てるくせに、プールの時だけはやる気満々。

当たり前か。得意分野だもんね。


「じゃあ、まず順番に25メートル。泳ぎ方は自由でいいぞ」

……いきなり?いや、私が初参加なだけでみんなはいつも泳いでるんだっけ。


次々とプールに入っていく様子を見ながら、私の鼓動はどんどん速くなるばかり。


ドクンドクンドクン……。

水に入るのは〝あれ以来〟

いつまでも逃げてたらダメだと思いながらも、気づけば4年が経っていた。


心臓がうるさい中、第2コースで大きな水しぶきが。

それは明らかに他の人とは違う泳ぎ方。

きちんとしたクロールのフォームに速いスピード。

こんなにキレイに泳ぐのは須賀しかいない。


いつもはやる気のない顔をしてるのに、水泳に関してはまるで別人だ。みんなも先生も須賀の泳ぎに見入っている。

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