きみと泳ぐ、夏色の明日



「あんな怖い顔の須賀初めて見たよ。みんなビックリしちゃってさ」

紗香の言葉を聞いて、私がからかわれない理由が分かった。


さすがの女子たちもそこまで須賀に言われたらなにも言えないだろう。


「〝人の失敗を笑うな〟……なんか須賀が言うと説得力が違ったよ」


私は須賀に庇(かば)われたってことになるのかな?

それとも単に失敗を笑った女子が気に食わなかっただけ?


普通の人が言えばくさい台詞だけど、みんな須賀が失敗も成功も知ってる人だって知っている。

そうじゃなきゃ、あんなに速く泳げない。


「あ、それとすずをプールから助けたのも須賀だからね」

「……え?」

須賀が?保健室でそんなこと、ひと言も言ってなかったけど。


「あの時の須賀もかっこよかったよ。すずのこと抱き上げて助けたんだから」


ぜんぜん覚えてないけどひとつだけ。

水中で伸びてきた手。あれはフラッシュバックした記憶の一部だと思ってた。

だけど私の手を掴んで体を引き寄せたのは須賀だったんだ……。

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