きみと泳ぐ、夏色の明日

***


次の日の学校。今日もうんざりするほどの猛暑だった。学校に到着するまでに体力の半分は消耗するし、セミは存在意義をアピールするように騒がしいし。


「もう毎日暑すぎてイヤになる。教室にエアコン付けてくれないかな……」

紗香が数学のノートをうちわ代わりにパタパタと扇ぎはじめた。

その生ぬるい風で涼しくなるはずもなく、教室ではほぼ全員の生徒がこの暑さにうなだれている。


「こんな中、よく寝てられるよね」

紗香の目線は私の隣の席へ。そこには爆睡している須賀の姿。


「……暑さに慣れてるんじゃない?」

水泳は夏が本番。この時期を嫌っていたらとても水泳選手にはなれない。


「えーなんか珍しい。すずがそんなこと言うなんて」

うん。自分でも言ってて違和感があった。きっとこの暑さのせいだ。それに便乗してもうひとつ。


「……ねえ、愛嬌がなくて可愛げがないっていいこと?」

「なに急に?」


なんだろうね?

分かんないけど、昨日須賀がおかしなことを言うから。

この性格なんて損ばかりでいいことなんてない。まあ、変える気なんてないけどさ。


「んー。すずのすごいところは割りきってるところだと思うよ。合わない人とは合わないし合う人とは合う、みたいな」

「………」

「私はすずと合うからその性格好きだよ?」


つまりポジティブに考えると須賀の言ったとおり、裏がないと言う意味になるんだろうか。

そんなことを思ってる内に休み時間が終わってしまった。

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