きみと泳ぐ、夏色の明日
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次の日の学校。今日もうんざりするほどの猛暑だった。学校に到着するまでに体力の半分は消耗するし、セミは存在意義をアピールするように騒がしいし。
「もう毎日暑すぎてイヤになる。教室にエアコン付けてくれないかな……」
紗香が数学のノートをうちわ代わりにパタパタと扇ぎはじめた。
その生ぬるい風で涼しくなるはずもなく、教室ではほぼ全員の生徒がこの暑さにうなだれている。
「こんな中、よく寝てられるよね」
紗香の目線は私の隣の席へ。そこには爆睡している須賀の姿。
「……暑さに慣れてるんじゃない?」
水泳は夏が本番。この時期を嫌っていたらとても水泳選手にはなれない。
「えーなんか珍しい。すずがそんなこと言うなんて」
うん。自分でも言ってて違和感があった。きっとこの暑さのせいだ。それに便乗してもうひとつ。
「……ねえ、愛嬌がなくて可愛げがないっていいこと?」
「なに急に?」
なんだろうね?
分かんないけど、昨日須賀がおかしなことを言うから。
この性格なんて損ばかりでいいことなんてない。まあ、変える気なんてないけどさ。
「んー。すずのすごいところは割りきってるところだと思うよ。合わない人とは合わないし合う人とは合う、みたいな」
「………」
「私はすずと合うからその性格好きだよ?」
つまりポジティブに考えると須賀の言ったとおり、裏がないと言う意味になるんだろうか。
そんなことを思ってる内に休み時間が終わってしまった。