きみと泳ぐ、夏色の明日


更衣室から教室に着く寸前。ドアを開けようと手を伸ばした時、中から女子たちの話し声が聞こえてきた。


「ってか間宮さんって気強いし、きついよね」

「あーね。プールもなんでいつも見学なわけ?」

「さあ。そうやって男子の気を引こうとしてんじゃん?ほら、男子って見えないほうが妄想できるって言うし」

「あはは、ウケる。とくに須賀にきついのはそういう理由だったりして?」

「あーツンデレ的な?」

大きな声で聞こえてくるのは明らかに私の悪口。クラスの女子からよく思われてないことは薄々気づいてたけど。


「……すず大丈夫?」

隣で紗香が心配そうな顔をしていた。


「うん。気にしないから平気」


これは強がりじゃない。色んな人がいる学校で全ての人と分かり合えるのは不可能。

だから紗香みたいに悪口を聞いても友達でいてくれる存在は大事にしなきゃと思う。


「……すずは強いね。私はけっこうダメ。悪口とか気にするタイプだからさ」


うん。多分それが普通だよ。

私は気にしてないんじゃなくて、気にしないふりが上手いだけ。

だから周りから気が強いとか、愛嬌がないとか、プライドが高そうとか言われてることは知ってる。

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