きみと泳ぐ、夏色の明日
5M 焦げるほどの炎下
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水泳部に行くと、そこには人だかりができていた。
見渡す限り女子で建物の入り口で顧問の長谷川先生となにやら口論中。
「外からじゃ見えないから中に入れてください!」
「ダメだ。練習の邪魔になるからさっさと帰れ」
「見学者の人ならいいって前に言ってたじゃないですか!」
「お前たち見学者じゃないだろ」
「見学ですよ!水泳めちゃくちゃ興味あります!」
長谷部先生は「はあ……」と深いため息をついて頭を抱えていた。
女子たちは水泳ではなく森谷圭吾に興味があることは明らかだけど、なにを言っても引き下がらないって顔で女子たちは一致団結している。
私もここにいるってことはその一部だと思われてるのかな。イヤだな……。
「わかったよ。ただしプールサイドの端で見るだけだぞ。本当に大声出したり練習の邪魔をしたらすぐに追い出すかな。あと写メも禁止。守れるか?」
「はーい!」
……そんなに森谷圭吾が見たいのか。
先生が渋々玄関の扉を開けると、女子たちは興奮を抑えながらプールサイドへと向かっていった。