きみと泳ぐ、夏色の明日

***


次の日。須賀はまた1限目の授業から爆睡していた。

体力温存とかいってたけど、ただ単にそれを口実に寝たいだけなんじゃないのって思う。


「須賀は機嫌今日は直ってたね」

休み時間。紗香がコンビニのお菓子を食べながら横目で寝ている須賀のことを見ていた。


「須賀の機嫌とかどうでもいいし」

「本当にすずは須賀に興味ないよね」

「ないよ。え、逆に紗香はあるの?」


……まさか須賀のこと?

そういえば夏限定でカッコよく見えるとか言ってたような……。


「須賀っていうか私水泳のファンだもん。特に男子競泳のファン」

「まじで……」

「まじまじ」


し、知らなかった。

だから昨日も森谷圭吾のことを見に行こうって誘ってきたのか。紗香はミーハーじゃないし、おかしいなあ……とは思ってたんだけど。 


「水の中で0.1秒を競ってる姿がもう命懸けって感じがして好きなんだよね」

「わかるわかる」って共感してあげられたらよかったんだけど、今の私じゃムリだ。

学校のプールの授業さえ遠ざけてる私が水泳を語るなんて、できない。

< 48 / 164 >

この作品をシェア

pagetop