きみと泳ぐ、夏色の明日
「昨日はうちの学校が開校記念日でね。部活も休みだったからプールが使えなくて。それで昨日は水泳部どこ?って聞いたんだよ。なんか広くて迷っちゃってさ」
歩きながらも圭吾くんは本当に気さくに話してくれた。
だからあんな時間に敷地内をウロウロしてたんだ……。
圭吾くんは水泳部に入ってることは話の流れで喋ってたけど、高校生記録保持者だとか全国大会に行くほどの選手だってことはもちろん自らの口では言わなかった。
だから私もわざわざ聞かないし、昨日放課後に少しだけ練習を見に行ったことも言わない。
「そういえば同じ学年に恭平がいるでしょ?」
……恭平?
一瞬、だれのことだか分からなかったけど、たしか須賀の名前って恭平だったっけ。
「恭平って明るくていいヤツだから友達多そうだよね」
そんなことを言うなんて意外だった。
だって須賀は〝森谷〟って名字で呼んでたし、昨日の放課後の練習だってどことなく圭吾くんを避けているように見えたから、勝手に仲がわるいんだって思いこんでた。
「……友達が多いかどうかは知らないけど、いつも隣でバカな話ばっかりしてるよ」
「隣?恭平と同じクラスなの?」
「え……ま、まあ」
「恭平がいると楽しそうだよね」
「……楽しいもなにも須賀は部活とプールの授業以外は寝てるから」
「あはは、恭平らしいな」