きみと泳ぐ、夏色の明日
その途中のコンビニの前。どこにでもいるような不良たちが地べたに座りこんでいた。
年齢は変わらなそうだけど、金髪にピアスで遠くからでもガラが悪いってわかる。
イヤだな……と思いつつも、その前をはや歩きで通りすぎた。無意味にスマホを取り出してみたりして、スタスタと歩き進めていると「ねえ」と背後で声が。
「可愛いね。今ひとりなの?」
振り向くと、さっきの不良たちが私の後を付いてきていた。
「これから遊びに行かない?なんでも奢るし」
「………」
……気配を消して歩いてたのに最悪。
こういう人たちって誰にでも声をかけるし、ナンパなんてよっぽど暇なんだろう。
私は無言でシカトして、そのまま歩くスピードを早めた。
「ちょっと無視とかひどくない?俺ら怪しい人じゃないし。なあ?」
「そうそう。なんなら友達呼んでくれてもいいよ。そしたら人数も合うしカラオケ行こうよ」
うざい。うざすぎる。
しつこいし、暑さでただでさえイライラしてるっていうのに。
はっきりと強めに言ってしまおうか。いや、でも今朝のワイドショーで女子高生が刺されたってニュースになってた気がする。
世の中物騒な事件が多いし、ここで刺されるのはごめんだ。
シカト、シカト。シカトが一番。
「ねえ待ってよ。そんな逃げるようにしなくてもいいじゃん」
「ちょ……」
突然、私は腕を掴まれてしまった。
知らない人に触られるのって気持ちわるい。
――その時、不良たちと私の間に入ってくるひとつの影。
「おい。俺の彼女になんか用?」
その背中に守られるように聞こえてきた声。
顔なんて見えないのに、何故かその後ろ髪と大きな肩幅でだれだか分かっちゃった。