きみと泳ぐ、夏色の明日
私が向かった先は屋上。着いた瞬間に4限目のチャイムが鳴った。
「はあ……」
深いため息をついたあと、日陰になっている場所を探して腰を下ろす。
どうしてこんなにイライラするんだろう?
そう思いながら、さんさんと照りつける太陽を見上げた。
原因なんて考えなくても分かってる。
この暑さ。
この空気。
この季節。
夏の間は毎年心が落ち着かない。
目を瞑ると浮かんでくるあの日の光景。キラキラと光る水中で私に差し伸べられている一本の手。
それを掴んだ感触が今もはっきりと焼き付いている。
それに重なって聞こえてくるのは、他クラスがやっているプールの授業の声だった。
鳴り響くホイッスルにバシャバシャと泳ぐ水の音。
ああ、この感覚イヤだな。後悔で胸が押し潰されそう。
私は耳を両手で塞ぎ、顔を埋めて体育座りをした。
このままずっと小さな場所で、小さくなって、姿形がなくなるまで溶けてしまいたい。