きみと泳ぐ、夏色の明日



屋上の利用は今厳しく禁止されていた。それは昼休みも同様。理由はどこかのバカな生徒が屋上で爆竹(ばくちく)をやったのが原因。


屋上に行ったことがバレたら怒られるから内緒にしろって?

私もその場にいたのにチクるわけないじゃん。


……ってか、須賀はなんで私に対して普通なんだろ?

あんなイヤな態度をとったら話しかけるのをためらうか、関わらないようにするはず。

私だったら絶対そうするのに、須賀はどんなに冷たい態度をとっても普通だ。


神経が図太いのか、それとも心が広いのか。

おかげでますますこっちが悪者だよ。


「あーすず!もう、どこにいたの?」

教室に着くなり、紗香が慌てて駆け寄ってきた。


「ごめん。なんか居眠りしちゃったみたいで……」

「そうなの?早くご飯食べよう。昼休みが終わっちゃう」

紗香は私を待っていたのかお弁当に手を付けていなかった。


この学校で紗香の存在は私にとって大きい。

だけどそんな友達にさえ、言えないことは確かにある。


「ねー須賀は?友達に写メ頼まれてるんだよね」

「須賀って昼になると消えるよね。また顧問に捕まってるのかな?」


須賀がこの場にいなくても必ず話題に上がる。女子にモテてると言うよりは……。


「大変だね。この学校の英雄くんも」

紗香の言葉に私は無言でご飯を口に入れた。

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