後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「イヴェリン、わたしは先に行くわ。近衛騎士団のメンバーを調査に回すわけには行かないから、皇宮騎士団の方と調整してみるわ」

 ゴンゾルフは、先に部屋を出ていく。残ったイヴェリンはエリーシャに向けて気遣わしげな視線を向けた。

「レヴァレンド侯爵子息との顔合わせの件ですが――」
「大丈夫。何とかするわ」

 エリーシャの微笑みに、イヴェリンは眼鏡の奥の目を細めた。信じていないというようにエリーシャを見つめる。

 それから一礼すると、夫に続いて出て行った。
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