後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
室内は、アイラが想像していたのとは少し異なっていた。壁には皇帝ルベリウスと皇后オクタヴィアが寄り添う肖像画がかけられている。
部屋の中央にはどっしりとしたテーブルが置かれていて、その両脇には華やかな模様が刺繍された布張りのソファが並んでいる。
そこには既にレヴァレンド侯爵と、その息子であるダーシーが待っていた。入ってきた皇女に二人とも丁寧に一礼する。
そのすぐ後に、皇后オクタヴィアが入ってきた。彼女の後ろには、三人の侍女が従っている。
侍女たちが押しているワゴンには、銀のティーセットと焼き菓子が置かれていた。
「待たせたわね。では、改めて紹介してもらえるかしら」
オクタヴィアが、レヴァレンド侯爵を見る。
茶席の用意は皇后の侍女たちがしているから、アイラはエリーシャの後方に控えているだけだった。
とても手持ちぶさたなので、ついつい皇后の視線に合わせて侯爵の方へ視線を向けてしまう。
「長男のダーシーでございます。現在は内務省にて勤めさせていただいておりますが――」
ダーシーというのは、艶のない金髪をした生気のない男だった。六十過ぎ、ひょっとすると七十過ぎであろう父親の方が艶々しているのとは対照的だ。
部屋の中央にはどっしりとしたテーブルが置かれていて、その両脇には華やかな模様が刺繍された布張りのソファが並んでいる。
そこには既にレヴァレンド侯爵と、その息子であるダーシーが待っていた。入ってきた皇女に二人とも丁寧に一礼する。
そのすぐ後に、皇后オクタヴィアが入ってきた。彼女の後ろには、三人の侍女が従っている。
侍女たちが押しているワゴンには、銀のティーセットと焼き菓子が置かれていた。
「待たせたわね。では、改めて紹介してもらえるかしら」
オクタヴィアが、レヴァレンド侯爵を見る。
茶席の用意は皇后の侍女たちがしているから、アイラはエリーシャの後方に控えているだけだった。
とても手持ちぶさたなので、ついつい皇后の視線に合わせて侯爵の方へ視線を向けてしまう。
「長男のダーシーでございます。現在は内務省にて勤めさせていただいておりますが――」
ダーシーというのは、艶のない金髪をした生気のない男だった。六十過ぎ、ひょっとすると七十過ぎであろう父親の方が艶々しているのとは対照的だ。