後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
 その横についたイヴェリンは、騎士団の制服ではあるが、上着は脱いで側のテーブルに置いてある。

 皇女宮の中の一室で、イヴェリンはアイラの特訓中だった。この部屋の周囲には、ベリンダが結界を施している。

 この中で何が行われているのか、他の人に知られる恐れはない。

「アイラ! 背中を伸ばせと言っているだろう!」

 また、ぴしりと鞭が鳴る。背中を伸ばせるものなら伸ばしたい。けれど、今着せられている衣装があまりにも重すぎてそれもままならない。

「――思いきりコルセットを締めつけるとかした方がよさそうだな」

 あまりにもへなへなしているアイラの背中を手で押さえて、イヴェリンはイリアを呼びつけた。
 
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