後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「あんたの親父は天才だよ」
「天才じゃなくて天災じゃないんですか」
アイラは、しかめっ面になって主の方を見やった。エリーシャはダーシーの手から自分の両手を引き抜いている。
「これ以上手を握ろうとするなら、両腕を椅子に縛り付けるけど?」
「わたしの屋敷でそんなことをされてはたまりませんな。ではおとなしくこの手は引いておきましょう。エリーシャ様、結界を破壊してくださってありがとうございました」
「ふん」
エリーシャは鼻を鳴らした。行儀悪いことこの上ないが、ダーシーの前で皇女として振る舞うのは完全にやめたようだ。
「これって正式な招待よね? あなたのお父様――レヴァレンド侯爵はどうなったのかしら?」
「父ですか」
ダーシーはため息をついた。
「父は完全に取り込まれています――セシリーに。今日も彼女に使わせている別邸の方に行っていますよ」
「セシリーっていう名前、あちこちで聞くわね。ちょっと、誰もお茶をいれてくれるつもりはないの?」
ダーシーが手を上げて合図する。レヴァレンド侯爵家の執事が足音もたてずに近寄ると、茶器を手にした。
「天才じゃなくて天災じゃないんですか」
アイラは、しかめっ面になって主の方を見やった。エリーシャはダーシーの手から自分の両手を引き抜いている。
「これ以上手を握ろうとするなら、両腕を椅子に縛り付けるけど?」
「わたしの屋敷でそんなことをされてはたまりませんな。ではおとなしくこの手は引いておきましょう。エリーシャ様、結界を破壊してくださってありがとうございました」
「ふん」
エリーシャは鼻を鳴らした。行儀悪いことこの上ないが、ダーシーの前で皇女として振る舞うのは完全にやめたようだ。
「これって正式な招待よね? あなたのお父様――レヴァレンド侯爵はどうなったのかしら?」
「父ですか」
ダーシーはため息をついた。
「父は完全に取り込まれています――セシリーに。今日も彼女に使わせている別邸の方に行っていますよ」
「セシリーっていう名前、あちこちで聞くわね。ちょっと、誰もお茶をいれてくれるつもりはないの?」
ダーシーが手を上げて合図する。レヴァレンド侯爵家の執事が足音もたてずに近寄ると、茶器を手にした。