後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「あの時は驚いたわ。あなたの顔をひっぱたいてやろうと思ったけどね、でもまあ――あの時の扇を返してもらえないかしら。一応、気に入っているのよ、あれ」
「むろん、お返しいたしますとも」
ダーシーの合図によって、しずしずと銀の盆に載せられた扇が運ばれてくる。それがテーブルに置かれると、エリーシャは静かに自分の手元に引き寄せた。
「今日、侯爵はどうしたのかしら? あなたが操られていたとすれば、招待してくださったのは侯爵でしょう?」
エリーシャの問いに、ダーシーは首を振る。
「わたしが扇を持ち帰ったのを見て、エリーシャ様を招待することを思い付いたようですね。本来なら、この屋敷で、あなたをもセシリーの支配下におくための何かを行うつもりだったようです」
ダーシーは考え込むように目を閉じた。
「しかしながらセシリーにとってもっと大事がダーレーン国内で起こったようです。わたしに対する支配も昨日あたりからさらにゆるんでおります。そうでなければ――」
「ベリンダではあなたを解放できなかった?」
「それはわかりません」
「むろん、お返しいたしますとも」
ダーシーの合図によって、しずしずと銀の盆に載せられた扇が運ばれてくる。それがテーブルに置かれると、エリーシャは静かに自分の手元に引き寄せた。
「今日、侯爵はどうしたのかしら? あなたが操られていたとすれば、招待してくださったのは侯爵でしょう?」
エリーシャの問いに、ダーシーは首を振る。
「わたしが扇を持ち帰ったのを見て、エリーシャ様を招待することを思い付いたようですね。本来なら、この屋敷で、あなたをもセシリーの支配下におくための何かを行うつもりだったようです」
ダーシーは考え込むように目を閉じた。
「しかしながらセシリーにとってもっと大事がダーレーン国内で起こったようです。わたしに対する支配も昨日あたりからさらにゆるんでおります。そうでなければ――」
「ベリンダではあなたを解放できなかった?」
「それはわかりません」