後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
睡蓮邸での会合
 行動を起こしたエリーシャは素早かった。レヴァレンド侯爵邸にいた使用人たちは、ゴンゾルフとイヴェリンが指揮する皇女騎士団の手によって保護され、皇宮内にある魔術研究所へと連れて行かれた。

 皆、自分の意志を失ってしまったかのように命じられるままに馬車に乗り込み、おとなしく魔術研究所へと運ばれていく。

 それと同時に、ジェンセンが発見した遺体の山も魔術研究所へと運び込まれた。

「……ぴっちぴちの死体の山、ねぇ。そりゃ、ジェンセン・ヨークならうきうきしてしまうだろうな」

 自分もうきうきしながら、カーラは並べられた遺体に視線を向ける。後宮に戻ったエリーシャはシャツに足首を縛ったパンツ、共布のベストという楽な格好に着替えて魔術研究所に赴いていた。同じような格好をしたアイラを供に連れて。

「そこ、死体で喜ばない。セシリーとやらが何をしようとしていたのかつきとめてちょうだい」

 エリーシャは、カーラの頭を軽く小突いて、それから並んだ遺体に視線を向ける。彼女は遺体の全てを一つ一つ眺めて、それからカーラに紙を突き出した。
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