後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
白を基調にした騎士団の制服が彼女のすらりとした容姿を引き立てている。
白いブーツがぴかぴかに輝いていた。マントは最近流行っているように片方の肩にだけかけている。
白い絹の手袋が、まっすぐにメニューの日替わりランチを差していた。
「それと、アイラ・ヨークを探している」
「アイラは、わたしですけど」
皇宮騎士団に呼ばれる理由なんて思いつきもしない。
「わたしの名前は、イヴェリン・ゴンゾルフ――皇宮騎士団、皇女近衛団に配属されている」
彼女が首を振ると、顎のラインで切りそろえられた栗色の髪が揺れた。
眼鏡の奥の瞳は知的な光を放っている。
イヴェリン・ゴンゾルフの名前は有名だった。
タラゴナ帝国が成立してから五百年。
皇帝の家族が後宮で暮らすようになってから数百年が経過しようとしているが、皇宮騎士団の中でも、もっとも皇女に近い皇女近衛団の副団長という地位に登り詰めたのは彼女が初めてだ。
皇宮からほど遠いところで生活しているアイラだって、名前くらいは知っている。彼女の腰に目を走らせると、立派な剣が吊ってあるのが見えた。
白いブーツがぴかぴかに輝いていた。マントは最近流行っているように片方の肩にだけかけている。
白い絹の手袋が、まっすぐにメニューの日替わりランチを差していた。
「それと、アイラ・ヨークを探している」
「アイラは、わたしですけど」
皇宮騎士団に呼ばれる理由なんて思いつきもしない。
「わたしの名前は、イヴェリン・ゴンゾルフ――皇宮騎士団、皇女近衛団に配属されている」
彼女が首を振ると、顎のラインで切りそろえられた栗色の髪が揺れた。
眼鏡の奥の瞳は知的な光を放っている。
イヴェリン・ゴンゾルフの名前は有名だった。
タラゴナ帝国が成立してから五百年。
皇帝の家族が後宮で暮らすようになってから数百年が経過しようとしているが、皇宮騎士団の中でも、もっとも皇女に近い皇女近衛団の副団長という地位に登り詰めたのは彼女が初めてだ。
皇宮からほど遠いところで生活しているアイラだって、名前くらいは知っている。彼女の腰に目を走らせると、立派な剣が吊ってあるのが見えた。