後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
 渋い顔をしているベリンダとエリーシャは、ジェンセンを横目で睨んだ。

「ゴンゾルフ。あなたの意見を聞かせて」

 エリーシャは、ゴンゾルフの意見を聞くべく近衛騎士団長を指名する。ゴンゾルフはゆっくりと首をめぐらせた。

「そうですね――ユージェニーを引き入れるというアイディアそのものは悪くないと思いますが」

「あの女の首に縄をつける方法なんてあるのか? わざわざ火種を手元に持ち込む必要はないと思うのだが」

 イヴェリンはユージェニーを引き入れるという案には気が進んでいない様子だ。

「じゃあ、他にいい手がある人」

 エリーシャの質問に答えられる者はいない。エリーシャは大きくため息をついた。

「わかったわ。ユージェニーをこちらに招けるかどうかやってみましょう。寝首をかかれそうな気もするけれど」
「ことが終わるまで皇宮内に入れなければいい。何も皇女殿下が直接顔を合わせる必要もないでしょう」
「つまり、槍は成功報酬?」

 ジェンセンはその言葉を仕草で肯定した。
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