後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「まあ、なんとかするでしょうよ。そうでなければ困るんだもの」

 結局エリーシャはそう言うにとどめておいた。

 皇后が何も言ってこないのは不気味だとアイラは思った。もし、本当にエリーシャの命を狙い、ユージェニーを送り込んできたのが皇后だったとしたら。

 ユージェニーが裏切ってアイラについたことを知ったなら、どんな手を打ってくるのだろう。

「そんな不安そうな顔をしないのよ、アイラ」

 エリーシャはアイラの心情を見抜いたかのように微笑みかけた。

「前宮ならばともかく、後宮にいる間はおばあ様も下手なことはできないんですからね!」

 後宮の守りは堅い。ジェンセンとユージェニーの二人がエリーシャについたならエリーシャは一番守られていることになる。皇帝をのぞいて。

「問題は、いつまでも皇女宮にとどまっているわけにはいかないってことよ!」

 外に飲みに行けないのは大問題だ! と騒ぐエリーシャはこれから先のことを心配などしていないようだった。
< 322 / 394 >

この作品をシェア

pagetop