後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
 ダーシーはソファに寄りかかって腕を組んだ。ついでに足も組む。そうすると意外に足が長かった。

「それで?」

 エリーシャが先を促す。

「オクタヴィア皇后殿下は、ダーレーン国内の状況に非常に動揺しているようです。どうやら、非常に親しくなさっていた方が死亡したのではないかと」

「それは――リリーアの親戚でもあるってことなのかしら」

「正式な発表がダーレーン側からないので憶測でしかありませんが、恐らくは国王、あるいは国王に非常に近いところではないかと」

「おばあ様は今の国王とはどういう関係になるのだったかしら――」

 各国の王族皇族の姻戚関係は複雑だ。エリーシャは考え込んだ。

「現在の国王から見れば大叔母にあたるはず――」

 横からダーシーが口を挟む。エリーシャは驚いたように婚約者を見た。

「全部把握しているの?」

「一応は。大叔母と言っても、国王の曾祖父が引き取った遠縁の娘を養女にしたもので、実際の血縁関係はもっと遠いものだったはず――ま、扱い上は大叔母で間違いないでしょう。国王の曾祖父も実の娘として扱っていたはずですから」
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