後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
レヴァレンド侯爵邸の謎
 ジェンセンとパリィがダーレーンに入った後、アイラのところに彼らからの連絡が入ることはなかった。

 アイラが密偵としてかの地に入った時、父から渡された青い宝玉。それはまだアイラの手にあって、呼びかければきっと父は応じてくれるだろうけれど、二人の身に危険を及ぼすことになるかもしれないと思ったら、それもできなかった。

 ただ、連絡を待つだけの日々というのはアイラだけではなく皇女宮の皆を消耗させている。

 エリーシャは皇女宮の外に出ることは極力控えていたけれど、アイラはライナスとフェランに頼んで剣の稽古を再び始めていた。

 いつ、エリーシャの身代わりになる必要が出てくるかわからない。
 
 父のせいでこんな大事に巻き込まれることになったけれど、たぶんそれをアイラ自身は苦にしていない。

 遠い人だと思っていたエリーシャに、気が付いたら忠誠心を抱いていた。こんな感情が自分に芽生える日が来るなんて思ってもみなかったけれど。
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