後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「それでね、聖女の槍のことなんだけど」

 エリーシャは、ユージェニーの方へと身を乗り出した。

「今すぐには貸してあげられないの。だって、あれに近づくことができるのは皇帝だけなんだもの。わたしが生き延びて皇帝になったら貸してあげるけど、今すぐには無理だわ――前払い分は、別のもので支払おうと思うんだけどどうかしら。契約はまだ有効?」

「そうだと思いましたわ」

 ユージェニーはむくれた表情になった。

「ジェンセン。あなた、魔晶石を作るつもりある?」

「作れって言うならね――面倒なことこの上ないが」

「ベリンダ、術の間結界を保持してくれる?」

「……やれっていうならやってもいいけど」

 ユージェニーに話を振られたジェンセンとベリンダは、ユージェニーが何を求めているか完全に理解しているようだった。

「今回はそれで手をうちますわ、皇女様」

 ユージェニーはわかっていない様子の皆に説明した。つまり、若返りの術を使うのにジェンセンとベリンダの協力を得ることで対価とする、ということだ。
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