後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「では、その時にはエリーシャ様は何をなさるおつもりですか?」
「そうねぇ」

 エリーシャは顎に手をあてて天井を見上げる。

「その時にはもう少し自由に動き回れるだろうから……」

 それから彼女は視線を戻して微笑んだ。次に出る言葉が予想できて、アイラは唇をきゅっと結ぶ。

「飲みに行って……飲みに行って……飲みに行くわ!」

 やれやれ。アイラは首を横に振った。あんなことがあっても、エリーシャはさほど変わらないらしい。

「ではその時にはわたしもお供しましょう」
「……あなたが?」

 にこにこしているダーシーを見て、エリーシャは目をぱちぱちとさせる。ダーシーの方はにこやかな表情を崩さなかった。

「……そう、それも悪くはないわね」

 エリーシャがそう言ったものだから、アイラは仰天してしまった。てっきりエリーシャはダーシーとは必要最低限の関わりしか持ちたがらないと思っていたのに。


「さて、そろそろ帰っても大丈夫かしら」
 エリーシャは立ち上がった。
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