後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「アイラ、帰るわよ」
睡蓮邸を出て、皇女宮に戻るエリーシャは考え込んでいるアイラに目をやる。
「どうしたの?」
「ああ、ダーシーのこと?」
エリーシャにはかなわない。考えていることを、すぐに感づかれてしまう。エリーシャは軽やかな笑い声を上げた。
「別に嫌いじゃないわよ?」
「嫌っているとは思いませんけど」
便宜上の婚約だと思っていた。エリーシャもダーシーも互いに特別な好意を持っているようには見えていなかったから。
「本当のことを言うとね、ちょっと心強いかなって思ったのよ。彼が一緒に来てくれるって言ったから」
「心強い?」
何とも意外な言葉に、アイラの口はぽかんとあいてしまう。
「そうよ、心強いでしょ――彼は何かできるってわけじゃないけど――それでも来てくれるんだもの」
睡蓮邸を出て、皇女宮に戻るエリーシャは考え込んでいるアイラに目をやる。
「どうしたの?」
「ああ、ダーシーのこと?」
エリーシャにはかなわない。考えていることを、すぐに感づかれてしまう。エリーシャは軽やかな笑い声を上げた。
「別に嫌いじゃないわよ?」
「嫌っているとは思いませんけど」
便宜上の婚約だと思っていた。エリーシャもダーシーも互いに特別な好意を持っているようには見えていなかったから。
「本当のことを言うとね、ちょっと心強いかなって思ったのよ。彼が一緒に来てくれるって言ったから」
「心強い?」
何とも意外な言葉に、アイラの口はぽかんとあいてしまう。
「そうよ、心強いでしょ――彼は何かできるってわけじゃないけど――それでも来てくれるんだもの」