後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
騎士様に誘われました
ご機嫌で店を出てきたエリーシャと、その後をちょこちょことこついているアイラを呼び止めたのは、皇女近衛騎士団の二人だった。
ライナスは不機嫌そうに胸の前で腕を組み、フェランは壁によりかかって制服のポケットに手を突っ込んでいる。
酒場から出てきたエリーシャにフェランはひらひらと手を振った。ライナスはつかつかとアイラの方に向かってきてアイラに声をかける。
「おまえ、護衛侍女だろう。皇女様を後宮から出すんじゃない」
ライナスは黒い瞳でアイラを見る。その視線は鋭くて――アイラは顔をしかめた。フェランはその横でげらげらと笑っている。
「無理だろ、無理。エリーシャ様をとめるなんて」
「皆でそうやって甘やかすから――」
ライナスがフェランの方へ振り返るのと同時に、エリーシャは皇宮の方へと向きを変えた。
「この話は、これで終わり。わたしも戻るから――それでいいでしょ?」
数歩歩いた彼女は、思い出したように足をとめる。
「そうそう、アイラの家にある本、全部借りることにしたから、全部運ぶように手配しておいて」
「――かしこまりました」
ライナスは不機嫌そうに胸の前で腕を組み、フェランは壁によりかかって制服のポケットに手を突っ込んでいる。
酒場から出てきたエリーシャにフェランはひらひらと手を振った。ライナスはつかつかとアイラの方に向かってきてアイラに声をかける。
「おまえ、護衛侍女だろう。皇女様を後宮から出すんじゃない」
ライナスは黒い瞳でアイラを見る。その視線は鋭くて――アイラは顔をしかめた。フェランはその横でげらげらと笑っている。
「無理だろ、無理。エリーシャ様をとめるなんて」
「皆でそうやって甘やかすから――」
ライナスがフェランの方へ振り返るのと同時に、エリーシャは皇宮の方へと向きを変えた。
「この話は、これで終わり。わたしも戻るから――それでいいでしょ?」
数歩歩いた彼女は、思い出したように足をとめる。
「そうそう、アイラの家にある本、全部借りることにしたから、全部運ぶように手配しておいて」
「――かしこまりました」