後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
 侍女たちに頼んで本を並べ終わったのは、もう夕食間近という頃だった。

 今日は皇帝の命令で集まることはないから、エリーシャの私室での夕食となる。そこでの夕食は、いたって気楽なものだと先輩侍女二人から聞いていた。

 雰囲気的には、昨日の酒盛りにかなり近いらしい。主従関係なく同じテーブルにつくのだとか。
 
 エリーシャについていくのは、ものすごく大変だけれど、何とかやっていけそうだ。

 剣の稽古もさせてもらえるし、カフェの客にお尻を撫でられることもない分、こちらの方が性に合っているかもしれない。

 そんなことを考えながらアイラは庭園に出る。ここは後宮の住人と使用人たちしか出入りを許されていない。

 せっかくもらった自由時間、夕食前に少し散歩するつもりだった。
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